大人たちの声

えみ
お便りに一言書くのはとても緊張しました。

初めてランチ隊に入った日、35合の米研ぎを任されました。森にいる子供達、大人達の米をセッティングするのだから失敗出来ない!とても緊張しました。
何度も計り直したのを思い出します。
野菜を切る時、(いちょう切り)(たんざく切り)の指示が出て、隣のお母さんにこっそり聞いたのも思い出します。
緊張する先輩方と肩を並べて調理する時間、洗いながら・切りながらが私の緊張を緩めてくれました。
「良いんだよ」「大丈夫」「どう?」「どっちがいい?」そこに居るメンバーに寄り添い気持ちを尊重する・任せる。これらの言葉は、とても嬉しく温かい気持ちになりました。
こんな親になれたらいいな・こんな人になれたらいいな。素敵な大人達が沢山いるこの森に出会え、私はいつも背中を押してもらっています。
皆様 本当にありがとうございます。

おかみ
息子のえいじのぴっぴ卒園が近づく度に、名残惜しくて目に涙を滲ませたものです……が、ぴっぴやぽろの良さについては、皆さんが既に素敵な言葉で綴ってらっしゃったので、今回は違う形で書いてみます。

知る人ぞ知る、私の一番の趣味は『断捨離』です。皆さんご存知かと思いますが、不要な物を「断ち」「捨て」、物への執着から「離れる」こと。
5~6年前、色々な事に行き詰まって疲れてしまっていた頃、断捨離に出会いました。当時、家の中は視覚的に色んな情報に溢れ過ぎていました。ふと目に入る文字、表示、多くの色彩。それらは無意識にも脳で処理作業が為されるようで。そう聞けば、疲れちゃうのも頷けますよね。物が多いと良く起こる、あれがない、これがない、捜し物に時間がかかる。これも精神的に疲弊する作業です。

まず取り掛かったのは、キッチン道具。便利とキャッチフレーズの付く道具は、汎用性が乏しく、登場回数も少ない。嵩張っては物を取り出しにくくする元凶だったり。ストックも最小限。何か調理する時に調味料が足りなくなっても、工夫すれば何とかなるもの。細々と食材の使いかけを残す事もやめて、思い切って使い切ってしまうのも、逆に食べきる工夫になったり。
本当に必要かどうか、年間月間の使用頻度はどの程度か。こうして不要な物を思い切って手放して、動線を考えて配置し直す。この時に大切なのは固定概念も捨てること。想像力を働かせると、あら不思議。こんなに便利になるじゃないか。家がどんどんとスッキリ。すると心もみるみるスッキリ。部屋は人の心を映し、その逆も然り。

本当に自分に必要な物ってなんだろう。自分や家族が心地良い暮らしはどんなものだろうーー
たくさんの物と向き合う断捨離。それを積み重ねると、自分を取り巻く物事の本質が見えてくる。それは、便利そうに見えるサービスやSNS、その他にも色々な事が不要になっていきました。

こんな風に講師のように書いてると、おかみ(私のニックネーム)の家っていつも綺麗なんだ!……と思われるでしょうが、そうではありません。掃除が行き届かない時も、物が散乱してしまうことだってあります。 そうすると、ハッと気づくのです。今、余裕がないんだなぁと。
そうして、またせっせと部屋や心の中を断捨離するのです。

ぴっぴの森の中もある意味、色んなモノが断捨離されてるなぁと思います。森の中だと、大人も子どもも、誰がどんな肩書きだとか、あまり気にならない。
固定概念と着膨れした衣服を脱ぎ捨てて、心が軽くなる。
断捨離を続けてきた私にとって、ぴっぴ・ぽろはそんな場所です。

スタッフの皆様、携わってくださっている皆様に感謝を込めて 

       

スタッフ えり
12月19日雪景色の朝
ぽろぴっぴの日のぴっぴの森に今年度初めての雪が積もりました。朝「おはよう」とやってくるといつもなら焚き火のまわりを囲む人たちが今日は見当たりません。いつもとは全く違う景色です。荷物を置いた人たちから、あちらこちらで遊びが始まりました。ひたすらに雪玉をつくり始めた低学年のひとたち。5年男子はスキー板をつくると言って大工仕事を始めます。そりを持って坂道の道路へまっしぐらのひと。おままごとの道具を使って雪を集めて何か作っている人もいます。子ども達が想像力、行動力を発揮してイキイキとしている気持ちのいい朝でした。せっかくの雪なのでしばらく遊んでから朝の集まりをしたのですが、解散と同時に走り出した子ども達でした。手づくりスキー板や手作りソリを作っている人たちはよく滑るようにとテープを貼ったりなどのいろいろな工夫を施しては実際に滑って、また作り直して滑ってと、手作りのソリに乗って本当に滑っている姿はカッコよくさすがでした。だいぶ長い時間楽しんでいました。朝は近くでしていたそり遊びも経験を生かして次第に遠く遠くへ、急斜面急斜面へ、小学生のソリ遊びは迫力がありますが、操縦もさすがな感じで安心感もありました。そこでぴっぴの頃の小さかった時の笑い話や痛かった話などの思い出話が聞けたり、、、なんかいい時を過ごしてきているのだろうなぁという雰囲気でした。雪だるまやかまくらを作れる程は積もらなかったけど、雪はやっぱり子ども達をわくわくさせるようです。

スタッフ さやか
息子たちの場所と私の場所
長男、次男と2 人がぴっぴを巣立ち、今年度から、ぴっぴのスタッフとしてぴっぴの森で過ごすことができるようになりました 。
7年間、待ちに待った私のぴっぴデビューです。
4月のある朝、出勤する私に向かって、次男がこう言いました。
「ぴっぴをよろしく。」つい何週間か前まで次男の場所であったぴっぴの森に、今度は母が通うことになったのです。
「よろしく」頼まれたからには、ぴっぴを全力で守っていこうと心に決めたのでした。 毎日ぴっぴの子どもたちと森で過ごすのは、感動と愛おしさの連続です。四季の移ろいで変化する森の恵みは、子どもたちにも大人たちにも素晴らしい刺激を与えてくれます。息子たちの送迎時だけでは出会えなかった森のあれこれを日々感じることができるのは、スタッフの特権ですね。
そして、ぽろぴっぴは長男(三年生)が「ママがスタッフになるのは嫌だ。」と頑なだったこともあり、ぽろぴっぴのスタッフはできずにいました。長男には長男の世界があって、親には見せ たくない自分の姿もあるのだろうと感じていましたので、ぽろスタッフになることは半ば諦めていました。
しかし、11 月に入り まゆさんや えりさんの代わりで、二度、ぽろスタッフに入ることになりました。もちろん、息子たちには承諾を得ての出勤です。

11月14日 初ぽろ出勤、幼児とは違う、ぽろの人々のその暮らしぶりに驚きました。 大人たちは食後のコーヒーを淹れて、いただく時間が許されるのです。どんぐり笛作り、缶けり、木工製作、ピタゴラ装置、ハンモックで揺られる、髪を結い合う、棒を持って走り回るなど、子どもたちは一生懸命だったり 緩やかだったり、自分たちの時間を大切に過ごしていました。

11月28日 ランチ後に森をふらふらと歩いていると、通称「お化け屋敷」方面に何人かが登っていくのが見えました。ぴっぴの場合ですと、スタッフと一緒に行く場所です。ぽろではどうなのだろうか?と先輩のゆうすけっちに尋ねると、菅「あ、大人一緒の方が良いですね。家に入っちゃうのはまずいです。」と言います。そうか、小学生でも入っちゃうのか。と思い、お化け屋敷方面に行きますと、そこにいたメンバーはまひろ、がくじ、さくたろう、そして我が子 2 人(そらた、げんた)ではないですか !?内心「息子たち、嫌がるかな?大丈夫かな?ゆうすけっちに変わってもらった方が良いかな?」などと考え ていましたが、その心配はよそに、そらた「ママ、今から IT を倒しに行くから、平らな石、拾ってくれる?」とあっさり仲間に入れてもらったのです。その後は、 IT が住んでいるとされているお化け屋敷を覗いたり、更に奥のお化け屋敷を目指したり 、崖の上からもみじ谷へ行き、 そのうちに長い長い冒険になっていきました。
帰宅後に「ママ、これからもぽろのスタッフでいてもいい?」と尋ねると
そらた「良いよ。むしろうれしいよ。」
げんた「ママって呼んじゃうけどね。」
と受け入れてくれたのです。いつもの自分でいられるぽろぴっぴは、家庭とさほど変わらずに、背伸びせずにいられる場所なのだろうと感じました。だから、母親がいることも受け入れてもらえたのだろうと思います。

次男げんたは「僕には3つの自分がいる。一つは学校での僕 (真面目 、 一つはぽろとえりんこびっちでの僕(ちょっとだけ真面目)、もう一つは家での僕(超ふざけている)。ぽろと家の僕は近いところにいる。」と、話してくれたことがありました。小学一年生が自分自身を客観的に見て、使い分けていることに驚きました。では私自身はどうだろうか?と考えましたが、家庭の私も、ぽろの私も、ぴっぴの私も、私だなーとーと思ったところです。保育者は特にぴっぴという場所においては、その人の人柄が保育にも出ます。人と人の関わり合いの中で、飾った自分、繕った自分ではなく、そのままの自分で子どもたちと向き合うことが、目の前にいる子どもたちに、自分にとって最善だと考えています。
ぽろでも、そんな自分で小学生たちと関わっていきたいなぁ。と感じた初冬でした。

スタッフ ゆうすけ
2020年度 、新たなスタート! ピザ窯とかまどと、小さなお家・・・
いよいよ、ぽろぴっぴが始まりましたね。新年度のぴっぴの森では上田市にあるうさぎ堂の中村さんに教えて頂きながら 、 かまど、ピザ釜作りが始まりました。ぴっぴの子ども達もピザ釜作りを手伝いたいと、基礎に使う大きな浅間石を森の中で見付けると一生懸命 ガゼボの下 に運びたくさんの浅間石が集まりました。釜の土台が出来てくると、昨年田んぼで収穫したお米の藁と土を足でコネながら壁となる土作りをしていきます。土は固いので土と水と藁を足で踏みながら形成し易い様に柔らかくしていくのですが、足でコネ ればコネるほど粘度が強くなり土が足にくっつき離れなくなっていきます。土と足が離れずその場に倒れこんで泥だらけになる子、粘りのある土遊びが楽しくてお団子を作り出す子、体に泥がつくのが楽しくてあえて泥を身体に塗りつける子、土作りの場があっという間に遊びの場へと変わっていきました。子ども達が遊べば遊ぶほど土は柔らかくなり釜作りに使う土がたくさん出来上がり、作業は順調に進んで行きゴールデンウィーク前にはかまど、ピザ釜の形が出来上がってきました。本日(9日)はいよいよ仕上げ作業に入ります。ぽろぴっぴの子ども達の力を借 りながら乾いた土の上から漆喰を塗り外壁を作っていきます。完成したらピザ釜を使って試し焼きも行ってみます。みんなで力を合わせて作った釜で焼いたピザやパンはどんな味がしたか、是非子ども達に感想を聞いてみてください。これからもこのかまどとピザ釜を使ってたくさんの美味しいものが味わっていけるのが楽しみですね!

卒業した6年生がぴっぴの森に残していってくれた小さなお家。ぴっぴやぽろぴっぴで秘密基地やお家ごっこなど森に集う子ども達の遊びが広がる様にと、昨年の6年生がこれからもぴっぴで遊ぶ子ども達の事を想って作った立派な家をどのような場所にしていこうかスタッフで話し合いました。作りたての綺麗な床に、トタンの屋根から陽の光が優しく包み込み、広さも心地良く、子ども達に魅力的な空間になる事は間違いありません。“この場所を子ども達が大切に使える場所にしたい”
“森の中でダイナミックに行う遊びとは違った空間にしたい”という思いからこの家は 「絵本のおうち」という名前にしました。名前の通り子ども達が心穏やかに絵本を楽しめる場所にしました。天気の良い日には絵本のおうちの隣の丘で丸太の椅子に座りながら外で絵本を楽しむ事もできます。この場所は「絵本の丘」という名前が付きました。早速、子ども達に「絵本のおうち」の使い方の話をすると、最初は泥のついた靴のまま家の中に上がろうとしたり、砂場で作った料理を絵本のおうちの中に運ぼうとしたりする子もいましたが、子ども同士 も その場所の使い方を伝え合い絵本の好きな子どもが集う場となって来ました。まつぼっくりの子ども達も部屋の中に土があるとほうきを持ってきて掃除をする姿も見られ、子ども達にとって大切な場所の1つとなっています。
小学生の間ではこの場所がどんな空間になっていくのか、こちらもこれからが楽しみです。